既刊第3巻で登場したゆきちゃんの熱い視線は、やはりトムさんに向けられていた事を改めて知る事から物語は始まります。カメラのファインダーから覗く被写体の微笑みが無意識に放つ男性的魅力を焼き付けられた印画紙。憧れから始まる一方通行の「想い。」狭い世界ではそれを口にする事はおろか相手に伝える事など許されない「筈。」ふとその写真を見て、エナ君はすぐに思い出します。以前自分を救ってくれたヒーロー、その人だと。その人の背中を追ってきた、その「想い。」は大声になり「お願い、この人に逢いたいんだ!」ゆきちゃんにも届いてしまいます。伝えられない想いを抱えた「想い。」と、伝える為に生きてきた「想い。」それはどちらも同じトムさんに向けられ、複雑に絡み合いながらも二人の想いはそれぞれの着地点を辿る。
今回も素敵な時間をありがとう。ただ、ほんの少し胸を締め付けられ素直におめでとうとは言えない、目を真っ赤にした自分がここにいる。もう一言だけ「自分の魅力を無意識に振り撒く奴は手に負えない。」モテモテのトムさんに嫉妬。