橘誠一郎と那須川雪姫は恋人同士。
今の学生には珍しいほどに節度ある清い付き合いで愛を育む二人は、
にぎやかに楽しく、幸せな学園生活を過ごしていた。

とある休日の繁華街でのデート中、二人はゲリラ豪雨に見舞われる。
雨宿り先を探して思わず入ってしまったのはあろう事か、ラブホテルだった。
清純すぎる二人は慌てふためきながらも、盛り上がる気持ちには勝てず……
なんと、そこで人生初のキスを交わしてしまう。

ホテルを後にする時には、思わぬ秘密体験に二人の距離は一気に近くなり、
互いへの愛おしさはさらに膨れ上がっていた。
このまま愛する人との特別な幸せがどこまでも続く。
途切れる事もなく、ずっと永遠に、と。

だが……二人は気付いていなかった。
ねっとりとよどんだ視線が自分たちに注がれている事に。

「ヒヒヒッ！
ラブホに入って、そこでイケナイ行為しちゃった事……
先生たちにバラしちゃってもいいのかなぁ？」

平穏な日々は突如として終わりを告げる。
ホテルの件をネタに、クラスメイトの金園清志から脅迫を受ける雪姫。
なんと彼は、二人が寄ったホテルグループの経営者の息子であり、
利用者の痴態を盗撮する裏の趣味を持つどうしようもない男だった。

突きつけられた動画に映る、誠一郎とのキスシーンの一部始終。
雪姫は、大切な人を守るため……
自らを犠牲にし、彼との不適切な関係を結んでしまう。

これまでと同じ幸せな日常が戻ってくる事を信じて。
今日も雪姫は清志に抱かれていく。
助けを求める彼女の心の叫びに、誠一郎は気付けない。
彼女の体が寝取られている事に、気付かない。

崩壊の足音は愛し合う二人の心にまで響き……
じわじわと淫靡な亀裂を生じさせていく。