時代はどこかの未来、とあるアパート『仏蘭西荘(ふらんすそう)』の4畳半、1Kで生活する大学生『織田 祐作』の元に、早朝から『金属製の大きなスーツケース』が届けられた。
祐作がケースに近づいた時、けたたましいサイレンと煙を噴出しながら、上蓋が自動にスライドし開錠する。
煙が徐々に晴れていくと、ケースの中に膝を抱えて眠るように横たわる女のコの姿が……。
見た目は普通の女のコのようだが、まるで猫のコスプレでもしているように耳は大きく、フサフサな長い尻尾が付いている。
この女のコこそ、人間の遺伝子と猫の遺伝子を掛け合わせて作り出されたハイブリッド有機体『i-do TypeF』。
次世代のペットとして、『ゲノムソリューション』という会社が作り出した愛玩動物で、耳と尻尾が動物なだけ以外は、ほとんど人間と変わらない。
実は数週間前、インターネット上で募集をしていた『ハイブリッドモニターキャンペーン』に、祐作は見事当選したのだった。
箱の中の女のコがゆっくり目を覚ますと、自分に名前を付けるよう言われそして、『TypeF』の由来の意味を思い出し彼女を『フィリス』と名付ける。
祐作は戸惑いながらも、その日から4畳半の部屋は、彼女との、新鮮な同居生活が始まった。