時は現代より少し先の話、機械化が進み、人の仕事は肉体より頭脳を使用した仕事が多くなっていた。
現代人は身体よりも、精神面でのメディカルケアを必要とする時代になる。
需要は供給の増加を生み、メンタルカウンセリングには優れた医者が多くなった。
そんなカウンセラー達でも手に負えない患者が居る。
それがランクS。
普段の生活では全く問題ないのだが、一度心のタガが外れると、躁鬱状態になったり、視界に有るものを破壊したい衝動に駆られたり、自殺を図ったり、など手に負えなくなる危険な状態になる人間の事だ。
異常性二重人格に近いこの症状は、治療する医師たちにも危険が及ぶ事から 扱いが非常に困難とされ、平均完治率は1%を下回っていた。
メディカルカウンセリングの世界では嫌われ、隔離の対象として扱われていた。
しかしそんな中、ランクS患者のみを専門にするサイコセラピストが現れる。
彼の名は五月雨 樹(さみだれ いつき)、『強力な催○によって対象者の全ての記憶と潜在能力を封印し、同様に催○効果によって新たな性格に○教する』という独特で異端な治療法からヒュプノティスト(Hypnotist)と呼ばれていた。
そんな彼の元に、日本から一組の家族が訪れた。
患者の名は春川 伊織(はるかわ・いおり)。
大人しく、今時では中々お目にかかれない、優しさを持ち、周囲や相手に対し気の利く少女だった。
彼女の隠された恐るべき人格とは?
彼は伊織をどんな性格に変えてゆくのか?
真由美、助手として治療のヘルプをする看護士、沢渡 加奈。そして主人公。
三人は伊織の治療を成功に導く事ができるのか
今、一大サイコカウンセリングが始まろうとしている。