某県愛見市。
大した名物もない小さな市ですが、この街には、縁結びの神社があります。
高い高い階段を昇った先にある新良城(あたらぎ)神社。
この神社には、何故か真夏にだけ花を咲かせる桜のご神木があります。
『この桜が花を満開にさせた時、恋しあう男女が枝に紐を結ぶと、2人は永遠に幸せになれる』
そんな噂が広まり、賑わっていたのも、随分と昔の話。
桜も長い年月の間、花をつけておらず、今では参拝客もほとんどない、静かな神社です。
夏休みを直前にした、ある日。
古びれた噂を聞きつけ、新良城神社に訪れた真木 智哉(まき・ともや)は、
神社に住む少女・新良城 紗々弥(あたらぎ・ささや)に出会います。
彼女と学園で再会して間もなく、彼女の口から聞かされたのは、
「あなたが……好きです」
まったくの予想外な、告白の言葉。
しかし、サプライズはこれだけではありません。
彼女を皮切りに、ほぼ同じタイミングで3人からも告白されてしまいました。
幼馴染でクラスメートの水森明日夏(みなもり・あすか)。
明日夏と仲良しの五十鈴えみり(いすず・えみり)。
親友である桐原大樹(きりはら・たいき)の妹・小枝(こえだ)。
これはモテ期の訪れ?
ただの偶然?
もしかして……恋を紡ぐ桜のせいなのでしょうか。
やがて小さな恋を見届けるように、桜はゆっくりとツボミをつけ始めます。
まばゆい太陽、青く光る海、夜空を彩る大輪の花火。
彼女たちと暑い夏を過ごす中、最後に智哉が選んだ相手は──
さて、夏休みが終わる時、あなたは一体誰と結ばれているのでしょうか。