また試験が近づいてきた。…そう、カウンセラーの資格試験だ。去年は惜しくも失格。だが、高校を出たばかりでの合格者は、そう多いワケじゃない。それに、この一年、よく眠り、よく遊び、そして少しは勉強もした☆
…というのも、ここハイランディ共和国の資格試験は、知識よりも、本人の性格的な適正を重んじることで知られている。卒業した高校の先生の話では、あなたの失格は、どうやら最後の面接の際、あまりにも「緊張」と「疲労」と「思い入れ」が感じられ過ぎたからだと、その筋の情報を教えてくれたのだ。
確かに、この一年…知識的にはともかく、ある意味、自分自身を見つめる良い機会になったような気はしていた。中でも一番考えていたことといえば「なぜ、カウンセラーを目指しているのか?…」ということ。結局、自分でもよくわからないが、どうやら「好きだから」というのが最終的な回答のような気がしている。
あなたは、そんなことを思いつつ、寝そべりながら参考書を手に取る。もう何回も目を通した設問を目で追いながら、だんだんと重くなるまぶたを持ち上げようともせず、そのまま少しの間、まどろむ態勢に入っていた。
ハイランディ共和国の首都ハイリアは、今日もいい天気だ。昼下がりの日差しに包まれながら、暖かな部屋の中でゆっくりと意識が沈んでゆく…。こんな贅沢な浪人生活をさせてくれた両親にも感謝だ☆
…それにしても、試験を目前に、これだけノビノビとグータラできるとは…もしかすると、このふてぶてしさこそ、この一年でゲットした最大の収穫だったかも知れない。
「よぉし、明日からがんばるぞぉ〜…」
…昨日と同じように、そんなことを考えながら、あなたは間もなく寝息を立て始める…
そう、あなたの隠された才能が頭をもたげるまでには、まだ少し時間があるようだった…。