友達の母を○すということ

■山岸　朗（やまぎし　ろう）　主人公

　 私立鷹山（ようざん）学園の２年生。（学園は男子校で、結構学力レベルが高い）
　 物心つく前に、母親が謎の失踪を遂げた。
　 どういうわけか父親はひどく母親を憎んでおり、写真も残していない。
　 そのために朗は母親の顔をまったく覚えておらず、その存在に対して潜在的に強い憧れと憎しみを抱いている。
　 （別れる間際に抱きしめられ、「ごめんね……」といわれた記憶だけはある。とか）
　 山岸家はそこそこの資産家で、朗の父親もそれなりに地位のある人物である。
　 そのために仕事で家を空けていることが多く、朗は大きな一軒家にほとんど一人で暮らしている。
　 幼いころには家政婦のおばあさんがいたが、寄る年波で隠居。
　 食事は基本的に一人で外食で済ませることが多いが、たまに隣の満島家に、夕食に呼ばれることもある。
　 必要な時に、言い値で小遣いがもらえるため、経済的には何一つ不自由はしていない。
　 しかしそれは、バイトなどをする暇があれば、山岸家を背負って立つために勉強しろ、という父親からの無言の圧力である。
　 成績はトップクラスとまでは行かないが、追試を受けるほど頭が悪いわけでもない。
　 少なくとも、哲平にテスト勉強を教えるぐらいはできる。（その時に、涼子とねんごろになる
　 また、幼いころから野球をやっていて、今でも遠投で１１０ｍを投げる強肩の持ち主だが、学園に入る前に父親に辞めさせられた。
　 しかし周囲が騒ぐほどには、当人はそれほどあらゆる物事に執着がない。
　 生きるための気迫、みたいなの？　薄いんだ、俺……といって、周囲に韜晦することもない。
　 涼子の肉体を知るまでは、当然の事ながら童貞。
　 初めての関係から２ヶ月が経過したが、今はもうサルのようにやりまくりたい期間。
　 それをして自嘲気味に、サルか俺は……と自分で嗤ったりする、ニヒリスト。
　 などといいながらも年相応に、涼子以外の女の肉体にも、興味津々である。
　 が、そのあたりの話題は、親友相手にも口にしない。
　 口さがない同級生からは、（裕福な家庭環境などを）やっかみ半分に、ホモなんじゃねえの？　み たいに言われることも。
　 何を言われても大概は堪えないが、幼な友達である珠緒に関することには、過敏になる。

■満島　伊織（みつしま　いおり）　３４歳

　山岸家と満島家の存在する界隈は市内でもお屋敷町として有名で、畢竟、満島家もそれなりの資産家である。
　 伊織はそこの一人娘として大切に育てられ、学業を修めると同時に親の決めた婿養子と、何の疑いも持たずに見合い結婚をした。
　朗いわく、アンティークな着物と日傘のよく似合う、（実際着ているわけではないが）おっとりしたお嬢様奥さん。たまに冗談めかして、大正時代からタイムスリップしてきたんじゃないの？　などと本人に直接言うこともある。
　そんなとき、きまって伊織は、まぁ、朗くんったら……とはにかむように笑う。
　 その華やぐような笑顔が、朗は大好きである。母親の顔は知らないが、きっと伊織さんのように笑う人であって欲しい、と常々想っている。
　逆にそんな彼女を哀しませることが、あってはならないと考えている。
　 珠緒の事も当然好きだが、その病室に足繁く通うのは、伊織の笑顔が見たいから……という理由も多分に含まれているのである。
　閑話休題。
　山岸家と満島家は昔から家族ぐるみの付き合いがあったため、伊織は朗の事を赤ん坊の頃から知っている。
　 昔から留守がちだった朗の父親に代わって、その面倒を見ることもしばしばあったため、彼の事は本当の息子のように考えている。
　そんな朗が見知らぬ女（しかも自分とそれほど年の違わない）と、ホテルから出てくるのを見て、かなりのショックを受ける。
　 激しく葛藤し、いっときは朗を恐れるが、やがて母代わりの存在として、正しい道に戻そうと考えるようになる。
　男性経験は夫としかなく、フェラチオもまともにしたことがない。
　 跡取りである珠緒を生んでしまったので、以来性生活自体もおざなり。
　 夫のほうはそんな面白みのない伊織に早々に見切りをつけ、他所に女を作ってよろしくやっているのだけど、そんなことは露ほども知らない。
　当然、オーガズムも感じたことがなく、それをして、もともと自分はセックスが嫌いなのだと考えていた。が、朗に抱かれることによって、初めて激しく達してしまう。
　そこから徐々に、性に対して奔放に、かつ貪欲に変貌していく。
　 最終的には、実の息子である珠緒と──
　朗の母親が失踪した真の原因を、唯一知っている人物でもある。

■満島　珠緒（みつしま　たまお）

　 珠緒という名前だけど、男。
　 生まれつき病弱で、最近とみに体調が悪く、入退院を繰り返している。
　 そのために友達が出来にくく、幼なじみの朗と、飼っている小鳥が唯一の友達。
　 朗の事は、朗兄ちゃんと呼んで慕っており、たまに家に戻って一緒に食事をするのを、何よりの楽しみにしている。朗もまた、珠緒の事を実の弟のように思っていて、彼が入院している間は３日と空けずに病室を訪れる。
　 すっかり身体を直して、朗と同じ鷹山学園に通うのが、夢である。
　 この年でまだ乳離れができておらず、伊織のことをママと呼んでいる。
　 とても母親に依存していて、取られそうになると知るや、それが朗であっても激しく抵抗する。
　 ストレートの髪を綺麗に切りそろえている。
　 色白で目も大きく、一見すると女の子の様である。

■秋本　涼子（あきもと　すずこ）３７歳

　 あっけらかん、とした感じの明るい奥さん。
最近太り始めたことを気にして、息子のゲーム機でフィットネスに興じたりするような。
　 息子ともため口で、母親というよりはアネキ的存在。けど、締める所はちゃんと締める。
　 夫は普通のサラリーマンで、貧乏でも裕福でもない、いわゆる中流家庭。
　 マイホームのローンの繰上げ返済をしたい、などと常々思っていたり。
　 愛し合って結婚したが、息子の哲平も大きくなって、夫とはもう何年も夫婦生活がない。
　 そのために性欲も有り余っているが、努めて明るく、快活にふるまうことで、そのことを周囲に気取らせないでいた。
　 一見さばさばした風にも見えるが、実際は情が濃く、非常に淋しがり屋である。
　 男関係は一度溺れると、自分でも手がつけられないほどに堕ちてしまう。
　 朗との関係は、息子の勉強を見てもらっているとき。
　 リビングでフィットネスゲームをやっていて、身体が固まってしまったところを、たまたま二階から降りてきた朗に助けてもらう。
　 その時に、あらぬところが触れてしまって……というのがきっかけ。
　 もともと母親がいないことなどを哲平から聞いていて、朗に同情的な部分もあった。
　 やや毛深く、体臭が強めなのを気にしているが、実際は彼女が思うほどでもない。
　 また彼女の中では、それは夫に相手にされないためｏｒそのせいで夫は相手にしてくれない、とい
　 うようなコンプレックスがあった。
　 しかし朗に、スズコさんの臭い、すげえエロいよ……といわれたことで、それは払拭される。
　 童貞だった朗に、性教育と称して色々と手ほどきをするが、最近は逆にイカされてしまうこと多し。
　 基本はパツパツの肢体を、ジーンズに無理に収めている。その上にざっくりと胸の開いたサマーセーターとエプロンという、典型的な友達のお母さんルック。
　 しかしたまにドレスアップすると化ける。
　 夫との夫婦生活をエンジョイしようと、セクシーな下着類も数着持っている。
　 が、一度使用しただけで不発に終わり、箪笥の肥やしになっていたり。

■秋本　哲平（あきもと　てっぺい）

　 朗と同じく、私立鷹山学園　２年２組。出席番号２番。
　 野球部に所属しており、真っ黒に日焼けしたスポーツ少年。
　 朗とは学園の入学時に始めて出会い、１年２年と同じクラス。
　 教室内で肩を組み、オレと朗は、親友だもんなっ！　とか、大声で言っちゃうタイプ。
　 それで、やっぱりホモだよ……などと揶揄するものがあれば、たとえ相手が札つきの不良であってもつかみかかっていく。母親に似て、情に厚い熱血漢である。
　 朗の強肩を非常に評価しており、ことあるごとに野球部に引き入れようとする。
　 自分の母親と朗との関係など、微塵も疑っていない。
　 もしもそのことを知ったら……それこそ天地がひっくり返るほどの衝撃を、感じるはずである。
　 短い髪を、ハードジェルでつんつんに立てている。
　 気のよさそうな垂れ目で、朗は哲平を見ていると、内心犬を連想してしまう。
　 年頃の男子である以上、最低限身だしなみに気をつけてはいるが、女の子とは一対一でまともにしゃべれないほどの奥手。

■山岸　遥（やまぎし　はるか）　３８歳

　朗の実の母親。
　 朗の父親いわく、幼い朗を捨て、他に男を作って失踪したらしいが……。
　 怒り狂った父親によって破棄されたため、山岸家には彼女の写真などは一切残されていない。
　 なので朗は、彼女の顔もはっきり覚えていないのだ。
　 涼子、伊織の両方をクリアすると、現れる