僕は「中川 忍」、聖ミカエル総合病院の小児科医師だ。
ある日、僕の養母である楓さんから連絡が入る。
彼女は僕が聖ミカエル病院に就職してから一年だけ一緒に勤務していたが、今は付属の看護学校に講師として教鞭を振るっているのだ。
話を聞いてみると「付属の看護学校の臨時講師にこないか?」という誘いの連絡だった。なんでも先任の講師が急病で入院してしまったらしくそこで僕に白羽の矢が立ち、数ヶ月の間出向して欲しいとの事だそうだ。楓さんは妙に押しが強く、僕はろくに反論も出来ないまま、あっという間に出向を決められてしまった……
しかし、実際看護学校に出向いてみると案外ここもいい所だなあと自分の目じりが下がるのがわかった。なんと言ってもうら若い女のコ達が集う学び舎で、どの娘も礼儀正しく博愛精神にあふれたいい娘ばかりだ。
そんな思いに浸っていると……
「あ〜!! 忍お兄ちゃん♪」
そう呼んで抱きついてきたのは、○○の頃から一緒に育ってきた妹分、紅葉だった。
そういえば彼女も母親の楓さん同様、ナースを目指していたんだっけ……
……しかし、○○だと思っていた紅葉は、少女らしいあどけなさは残しつつも、すっかり成長し女らしくなっていた。まぁ○○の頃からの癖で、人前だろうと僕に抱きつくのは勘弁して欲しいが、正直ちょっと嬉しくもある。……しかし、それもすぐに考え直す事になった。紅葉は級友の皆に僕のことを散々語っていたらしく、「紅葉の自慢のお兄ちゃん」という触れ込みで、クラス中で知らない娘は居ない位だったのである……
おかげで僕はすっかり好奇心の目で見られる事になり、お昼休みや放課後には「紅葉さんとの関係は?」とか「恋人は居るんですか?」等と質問に来る娘が居る始末……
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