主人公はずっと昔から一人で生きてきた。
学生時代に母親が病死し、父がすぐに連れてきた再婚相手と上手くいかなかったからだ。
最愛の家族、祭里と離れ離れとなり、独りで生きていく日々は辛かった。
たまに祭里が会いに来てくれる時だけが、かつての幸福な家族生活を思い出させてくれた。
自分を、家族を壊した父親に対する恨み。
土足で家庭に踏み込み、祭里と自分を引き離した継母への憎しみ。
彼らへの憎悪は、年月を追う毎に深く、暗く心に沈殿(ちんでん)してゆく。
そんなある日、祭里から切迫した連絡が届く。
父親が借金を残して蒸発したというのだ。
借金の取立ては厳しく、身の危険を感じた祭里は、主人公の元に身を寄せることになる。
思いがけず訪れた、家族を取り戻すチャンス。
祭里の到着を今か今かと待ちわびていた主人公の元に現れたのは、祭里だけではなかった。
――そう、継母の娘、凛も一緒だったのだ。
愛する祭里が来るのはいい。
だが、自分と祭里を引き離した一端である義妹までもが、自分の下に転がり込んでくるとは!
祭里と凛は本当の姉妹のように仲が良いらしく、引き離すことは出来ない。
しかし、その仲睦まじい様子を見ているだけで、家族との絆が汚されたような気がして、愛憎の狭間で主人公は悩む。
やがて、ふとしたきっかけで積年の恨みが爆発した主人公は凛をひどく○してしまう。
行く当てのない凛はそれを受け入れるが、主人公は負い目と積年の恨みから彼女に冷たく当たる。
だが、そんな狂った関係が、祭里に勘付かれないはずはなかった……。