突然の親父の転勤――一
一人暮らしを満喫出来ると思いきや、親父の知人の家に無理矢理引越しさせられてしまった俺。
そこは、何の変哲もない小さな街だったが……
「あの……ビックリしないでくださいね。私の家、すごく古いんです」
……俺の居候先には可愛い娘が居た。
名前は“歌澄ちゃん”。家族も皆いい人のようだ。
ここで暮らすのも悪くないかな…。
そう思っていた矢先――
「のわっ!? これは、もしかして……しゅ、手裏剣というヤツではっ!?」
突然、姿無き者に襲われる俺!
「当たったら、痛そうだな……何てなことを言ってる場合ではな〜いっ」
……もう駄目だ、そう思った瞬間……
「歌澄、参上っ!」
俺を助けてくれたのは、あの大人しそうな“歌澄ちゃん”だった。
素早い身のこなし、堂に入った剣捌きで次々と手裏剣を弾き落していく。
「最近、多いんですよね〜。謎の刺客って言うんですか? 正体不明の忍者の襲撃」
……襲撃!? そ、そんな物騒な…というか…今時「忍者」なんているのか?
「いますよ〜。私もそうですもん」
……マ、マジで!?
「あれ? ご存じなかったんですか〜。ウチの家族は全員、そうですよ。」
……なんですとっ!? ……退屈になるとばかり思っていた、新しい暮らし。
家に戻るまで、この命が無事であればいいが……
明日はどんなことが起こるやら。