あの日まで俺…夜ノ森優…は、この日常が永遠に続くであろう事に、なんら疑問を抱いていなかった。
彼女と呼べる存在こそいないものの、気の置けない友人、幼馴染、クラスメイトに囲まれ、大した望みも不満もないごくごくありふれた日常を送っている。
どこにでもいる普通の学生、それが俺だった。
そんな俺のクラスにやってきた転校生がきたのが、全ての始まり。
彼女は俺を「殺す」為にやってきた事を宣言する。
…その後も、俺を殺す為に次々とやってくる転校生。
生死の境で俺は自らの中の能力(ちから)に目覚める。
やがて知ることとなる。
自らが知っていた日常が、仮初めの世界であり、真実の片面でしかない事を。
この世界は既に…常に…滅亡の危機に瀕していたのだ。
この世界の外より大きな力を持つ 「侵魔(エミュレイター)」 と呼ばれる敵が侵入を繰り返し、そしてエミュレイターに対抗する力を持つ者は僅かだった。
それは例えば、魔を祓い、その災いより人を護る事を生業とする「陰陽師」
科学と魔術の力で心と体を殺戮の為だけに作り変えられた「強化人間」
神代より受け継がれてきた魔を滅ぼす剣を振う「魔剣使い」
或いは、人狼、吸血鬼など、伝説上のものとされる種族。
さらに、その他にも…。
エミュレイターに対抗する力を持つもの達は総称されて「ウィザード」と呼ばれており…
そして自分もまた「ウィザード」…それもとびぬけて大きな力を持つ…だったのだ。