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その日はとても暑かった。毎年のように更新される最高気温。地球温暖化が騒がれ始めた昨今で、一体どれくらいの人がその危機に耳を傾けているのだろうか。
……かくいうボクも、ただ身に降りかかる暑さに辟易していただけなのだけど。ただ。その暑い夏に、世間ではとてもとても小さな、ボク達にとっては大きな、本当に大きな事件が2つ、身に降りかかった。
1つは祖母が死んだこと。身よりのないボクを引き取ってくれていたその祖母の死によって、ボクは長年住み慣れた土地を離れることになった。
そしてもう1つは、この時のボクには未来における予定みたいなもので、この時にはまだ、なにも起きていないことだから、それがどんなことになるかは、ボク達には分かりようがなかった。
その時のボクは、ただ、暑さにうめくボクの友達の愚痴を延々と聞くことしかできなかった。
『彼』はボクにしか聞こえない声で話す。
そしてその姿は誰にも見えることはない。
だって、『彼』は、ボクの中にいるのだから。
それはある夏の日の物語。
ボクがボクでいた最初の、そして最後の夏だった。
音声 | ○ | アニメ | |
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シーン回想 | CG回想 | ○ |
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