あの日(上巻ラスト)から三沢 来果(みさわ らいか 偽名)は毎日放課後に呼び出されて、複数の生徒達の相手をさせられていた。「先輩」は兄のどうでも良いような情報を小出しにし、正体をばらすと脅しながら来る日も来る日も、来果を犯しつづけた。
ぼんやりした意識の中で来果は、こうなる前の日曜日のことを思い出していた。
回想 呼び出し状を受け取り、どうすればいいと悶々とする来果は柊 望未(ひいらぎ のぞみ)
を街へ「デート」に誘った。久しぶりに「女の子」として振舞う来果。楽しそうにあちこちを回り、買い食いをする。望未は少しあきれながらもまんざらでもなさそうだ。そんな日が遠い昔のような気がする来果だった。ほんの数日前のことなのに。
回想明け、男達の欲望はまだまだおさまりそうに無い。
一方で雨霧 遥奈(あまぎり はるな 数学教師)には平穏な日々が訪れていた。来果が犯されるようになってから、遥奈は放課後の「補習」から開放されていた。形ばかりの会議が終わり、教員寮に帰った遥奈に、いきなり雨霧 咲耶(あまぎり さくや 遥奈の妹)
が後ろから抱き付いてきた。驚いた遥奈は誰にも見られないように大慌てで咲耶を部屋に押し込む。
学校が試験休みに入った咲耶は、たった一人の姉を尋ねて来たのだった。学校の危険性を思い、追い返そうとする遥奈に置いてくれるよう懇願する咲耶。遥奈は淋しいと訴える咲耶を外へ行かないとの約束の上、泊めてやることにする。
翌日、朝から資料室で調べ物をしている間宮 舞衣子(まみや まいこ 保険医)。来果の告白を聞き、泰地の死の真相を調べることに協力を約束したのだ。しかし美崎泰地の教員日誌などからは、何も不信なことは見つからなかった。「美崎泰地の死は、自殺じゃない‥」そう確信する舞衣子。すると、静かにドアが開いて、いきなり仮面の「先輩」が鉄パイプで殴りかかってきた。腕をつかんで投げ飛ばすと、「先輩」は鉄パイプを放り出して逃げ出した。後を追った舞衣子は、廊下で種茂 繁(たねも しげる 科学教師)に会う。種茂は仮面の生徒は見ていないらしい。さらに探していると帰り支度をした遥奈に会った。
遥奈はいつに無く元気そうで、内緒といいつつ妹が来ていると舞衣子に告げる。舞衣子が泰地について聞くと、顔を曇らせまっすぐな良い先生だったと答えた。どこか来果に面影が似ているとも言う。
その来果は水着姿で犯されていた。生徒の人数は日を追って増えているような気がする。
遥奈は咲耶のところに帰る為いそいそと学校を後にする。それを窓から見ている堀口 健一(ほりぐち けんいち 生徒会長)は意味ありげな笑いをする。
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