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それは、学園最後の夏休み。いつものようにメリケン爺と話している時だった。
「一平、自分はいくつにならはった?」
「え? 先月で18歳になったけど」
「ほうかほうか。もう18になったんか。 ほな、バーバー三崎の“大人のサービス”が受けられ年齢やな」
「大人のサービス?」
「そうや。バーバー三崎にいって“男前にしてください”と言えば受けられる特別なサービスや」
「特別な……サービス?」
そんなやりとりがあってから、オレは床屋のおばちゃんの事を“オンナ”として意識し始めることに……。
オレと同じ年頃の子も、若い男の人も居ない……高齢化がドンドン進んで行く村。港と反対側にある丘の一番上には、廃屋と潰れた映画館とオレの行き着けの床屋『バーバー三崎』がある。
そんなおばちゃんが、ここで大人のサービス……?
ほんとうに? ほんとうなのか? メリケン爺……
お母ちゃんみたいにやさしいおばちゃんが……?
でも、もうオレは自分の気持ちを抑えきれない。
「おばちゃん、オレを男前にしてくださいっ!」――とうとう言ってしまった。おとなの階段を昇る魔法のコトバを。
音声 | ○ | アニメ | |
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シーン回想 | ○ | CG回想 | ○ |
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