「……雄太郎さん、雄太郎さん!」
初音の声にハッと気がつく主人公。
顔の上には心配そうに覗きこむ初音の姿があった。
「良かった……気がついた」
涙ぐむ初音。
「もう目を開けてくれないんじゃないかと思って、私……私……」
まだ意識がはっきりしない。俺は……
「ここは……」
見回すと、青い空、白い雲。砂浜に打ち寄せる白波。
「どこか、島のようです」
どうしてこうなったのか、思い返してみる。
たしか、南アジアの某国に来ていたはず。
外交問題に決着をつけて、帰る途中の船でほろ酔い気分で夜風に当たってて……
「もしかして、俺、船から落ちちゃったのか?」
「はい、すぐに気づいて海に飛び込んだのですが、船が気づかないまま行ってしまって……」
「流れが速くて、どんどん離されて、泳いでいるうちにこの島に流れついたみたいです」
「初音、俺を助けながら泳いでくれたのか?」
「はい、泳ぎは得意な方でしたし、溺れた人の救助方法も習ってましたから」
「そうだったのか。それにしてもラッキーだったな。この辺りは鮫もいただろうし、島に着く前に二人とも溺れてしまう可能性だって高かっただろうに」
(これも初音のアゲマンのご利益だったのかな?)
時計を見ると、朝8時……
「皆気づいて、今頃は捜索隊も出ている事だろう」
「そうですね」
クウウゥと主人公のお腹が鳴る。
「安心したら腹が減ったな」
「何か食べられるモノがあるといいんですけど」
「よし、ちょっと探しに行ってみるか」
…………