「もうね、ダメダメ。ウチの旦那はホントにダメ。もう3年くらいセックスしてないもの」
「そんなに? 亜希さんのところは大変だね」
盛り上がる2人の向かいで、縮こまっている俺。
どうして、人妻の性事情を、赤裸々に、包み隠さず、聞かされているんだ……!?
興味津々に聞く訳にもいかず……お陰様で、自分の部屋だというのに肩身が狭くて仕方がなかった。
「おかげでオナニーの回数が増える一方よ。……ま、オナニーに関しては、回数も激しさも、さなえに負けるけど?」
「も、もうっ……恥ずかしい事バラさないでっ」
「旦那のじゃ満足できないってよく溜め息ついてるくせに、何を今更……ねえ、アンタもそう思うでしょ?」
いきなり話題を振られてしまい、とりあえず笑って誤魔化す。
その話題で、いったいどんなコメントをしろって言うんですか……。
頬が引きつるのを感じながらも笑っていると――そんな俺を、2人がジッと見つめてきていた。
「ねえアンタ……最近、セックスしてる?」
「まだ若いんだもの。エッチな事、沢山したいですよね?」
「って……あ、亜希さん? どうしてジリジリと間合いを詰めてくるんですか?」
亜希さんは、俺の言葉を無視してさらに近寄ってくる……って近、近いっ!?
とっさに離れようとした俺を逃がさないとばかりに、亜希さんが俺の腕を掴む。
……あ、いい匂いだな……。
そんな事に気を取られている隙に……亜希さんは、その唇を俺の耳に寄せた。
「ねえ……今から私達と、しない……?」
女性特有の甘い香りを伴って、それ以上に甘い囁きが耳をくすぐる。
え……? い、いったい何を……?
なんて驚く暇もなく、今度は背中に柔らかくて温かい重さが――さなえさんが、乗ってきた。
「ダメ、ですか……? 私たちじゃ……嫌?」