舞台は震災の影響まだ色濃い大正末期から昭和初期の東京…
希望に満ちた華やかさもいつしかズルリと腐り落つ。
出口の見えない不景気とジワリと近づく軍靴の響き。
時代はくだんの『漠然とした不安』にド○○と沈み込みゆく。
社会不安は知識人に重大な知性の危機をも引き起こした。
深刻な自己喪失に直面した彼らは刹那の刺激に逃げ場を求める。
麻薬のように刺激を渇望し、酸鼻極むる倒錯の世界へ身を投じる男女の狂態。
不安を仮面に隠した紳士淑女が群がるサドマゾ恍惚の宴。
打てども打てども、この絶望は消えぬ。
ひたすら堕ちゆく、投げ込まれし小石の如く。
甘美な『死』の誘惑と、苦渋に満ちた…しかし決して捨てえぬ『生』への執着。
表裏一体の自己愛と自暴自棄。
退廃の鈍い光に照らされ浮かび上がる、エゴの歪みのグロテスクな美しさを見よ。
悦虐の果てに魂の救済はあるのか?
人間の業に刃を突き立てるSMゲームの新しいアプローチ。
表現の全てが未体験の世界。
退廃に彩られた絢爛なる舞台。まるで踊るように人物が絡み合う。
彼らのたどる数奇な運命。
醜悪さに潜む背徳的な美しさ。反道徳的であることへの快感。
初めて体験する混乱と興奮。
徹底した唯美快楽主義。