俺は小山隼人、大学生だ。
こう言っちゃなんだが、俺の心は今無性に侘しい気持ちでいっぱいだ!!
というのも、付き合っていた彼女……いや、もう彼女ですらないあの女には、別の男が居たのだ!
俺はその女に関係する荷物をすべて処分すると、大学を自主休校し、独り地方へとツーリングに出かけたのだ。
「げっ!?猫!!」
走り始めて数日目、その猫はいきなり俺の目の前に飛び出して来た!!
俺は咄嗟にハンドルを切り、進行方向を変え……あれ?
俺の身体は単車から放り出され、地面へと叩きつけられる!!
いかん、こりゃメット被ってても駄目かも…そう思った時には、もう目の前は真っ白になっていた……
気がつくと、俺はふかふかのベッドに寝かされていた。
ふう、何とか生きている様だ……俺は立ち上がろうとするが、身体に力が入らずあっさりベッドから転がり落ちてしまった。
俺が床に転がり落ちた音が聞こえたのだろう、こっちに向かって廊下を走る足音が聞こえてきた。
そして扉が開かれて、ひとりの女の子が飛び込んでくる。
「ど、どうしました!?…あ、お目覚めになったんですね♪」
彼女は情けないポーズのまま固まっている俺を助け起こすと、よいしょとベッドに戻してくれた。
……そういえば彼女、なんで『ネコミミ』を付けてるんだ?
それに尻尾と鈴つきの首輪まで……。
「隼人……さん。ご主人様って……呼んでいいですか? なんだか……隼人さんにこうして抱っこされてるとぉ……胸の奥が熱くなってきちゃうんですぅ♪」
そう言うと、彼女は小さな舌で俺の顔を舐め始める…そう、まるで『猫』みたいに!?