季節は冬。村の権力者である豊川家当主、豊川菊蔵が後妻を娶るところから物語は始まる。その後妻は元々菊蔵の愛人である女「文緒」だった。しかも、連れ子の「香織」も一緒だ。香織は菊蔵の子ではなく、文緒の前夫の○○だという。親子ほども歳の離れた妻とその○○の登場に、豊川家の人々は眉をひそめる。主人公・裕もその一人だった。裕の母――つまり菊蔵の前妻は、愛人の存在を知ったショックで自らの命を絶っていたのだ。
「母さんを殺した女を娶るだなんて……許せない!」
裕は父親への復讐のため、文緒と香織を自分のモノにすることを決意する。
そんな事とも露知らず、文緒は新しく息子となった裕と仲良くなろうと気を揉み、何かと親切にしてくる。そして、その娘・香織も「お兄ちゃん」と裕を慕っていた。それを利用して、裕は二人を手篭めにしようと考えていた。
表面的には彼女たちと打ち解けた風を装い、虎視眈々と機会を狙う。そして、ついに文緒と香織をそれぞれ○すことに成功する。体裁や夫への罪悪感もあってか、文緒と香織は○された事を口外することはなかった。しかし、それ以来裕を警戒してなかなかつけいる隙がない。
「一度○したくらいじゃ意味がないのに……」と焦れる日々が続いていた。
そんな裕に取り入ろうとする人物も少なくなかった。菊蔵の叔母、弘美もその一人だ。弘美はうだつのあがらない夫に愛想をつかし、裕に共同戦線をもちかける。裕が文緒と香織を堕とす事に協力する代わりに、報酬として、裕が菊蔵の遺産を相続した暁には、自分にも財産を分けて欲しい……。というものだ。財産に興味のない裕は、その条件を受け入れる。そして、契りの代わりに一夜を共にする。
かくして、豊川家の骨肉の争いが幕を開けたのだった。