『饗宴の赤』。
そう呼ぶ者もいるが、その秘密地下クラブの関係者に固有の名前は存在しない。
そして饗宴に相応しい性奴という名のメインディッシュを振舞う人間を、このクラブでは饗応師と呼ぶ。
ある饗応師の元に使者から届いた一通の封筒。
分厚い紙を使った赤い封筒に、赤い蝋燭。
それは『饗宴の赤』からの招待状だった。
「都心から急行で2時間ほど離れた場所にある三架谷(みがや)市。
そこにある有名私立学園を、無能で善良な前学園長から取り上げた。
その学園に通う良家の子女や普通の娘などを指導し、地下秘密クラブに送り込んで欲しい。
そしてゆくゆくは学園を専用性奴牧場にしたい」
饗宴の赤の使者は、そう饗応師に依頼した。
饗応師は思う。
ターゲットになる女のそれぞれの特性を生かし、心を読み、追い詰め、屈服させ、そして性奴として開花させる。
そこが饗応師の腕の見せ所であり、その過程にこそ快楽があると言って過言ではない。
知性と五感と肉欲……、女の隠された欲望を暴き、劣等感を刺激し、逃れられない背徳の快楽へと引きずり込んでいく。
女を内側からも外側からも、後戻りできない程に変えていく―――その過程が好きだ。
俺には心を読む力がある。
性奴指導は最大級の娯楽であり、本気のゲームでもある。
リスクのない賭けなどには興味は無い。
退屈なゲームなどする価値もない。
やるならば、本気のゲームだ。
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