妻の過去というすでに過ぎ去った時間の出来事に苦悩する、妻が初めての女性だった夫の初々しさが際立つ。
読み手としては、妻も夫も善人であることが手に取るようにわかる。しかし夫は、妻で脱童した身の上なので、妻の男性遍歴を見て妻への不信感が芽生える初々しさも青臭くていい。
ただ、妻の男性遍歴の最期を綴るのが夫というところがいかにもいじらしい。作者的には、「結婚後に夫以外との関係があった」という、妻を「阿婆擦れ」に仕立ててしまうテロップの組み立て方も構想にはあっただろうと想像するけど、あえてそれを外して妻の男性遍歴を「5」としているところが本作の救い。そうでなければ読了感が酷い雑味を帯びてしまっていたところ。
よく見てみれば、妻も相当ひどい男に騙されてきている。妻が夫以外で唯一本気で惚れて、中出しまで許した相手が、夫視点では酷いパワハラ野郎でろくでもない奴だったというのがいい。その男と結ばれずに今の夫と結婚した現状こそ、お互い最も幸せなカップルなんだというところが垣間見れて最高。
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