ラセルさんのシリアス作品に通底する(と自分が勝手に認識している)もの,それは「どうしようもないこと」に向き合う人間の苦悩のリアルさかなと…。こちらのボイスドラマにもそれがよく現れていると思いました。
不慮の事故で命を落としてしまった幽霊の飛鳥くんと,彼と唯一コミュニケーション可能な青年・大空くん(ゲイ)による共同生活。
一見びっくりするようなシチュエーションですし,勿論ドキドキするシーンもたくさん楽しめます。
その一方で,物語を貫く芯となるのは,運命のままならなさや,大切なものの喪失と向き合う困難さといった,非常に真摯でリアリティのあるテーマだと思います。誰かを責められることでもなければ,努力で解決できることでもない,だからこそ苦しいという…。
大空くんと離れたくない気持ちが爆発して泣いてしまう飛鳥くんの言葉は,涙なしには聴けませんでした。
役者さんのお芝居の巧さ,演じ分けの見事さ,声質の生々しさ(本当に身近に居そうと思える)…心底脱帽です。
大空くんが想いを告げるシーンの声色は特にグッときました。
次回作も楽しみにしております。
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