「Shigezou」さんのレビュー記事です。全1個の記事が掲載されています。
アナタとの購入傾向の類似度:

5/5(5.0)

完成度が高い

投稿者:

Shigezou

掲載日:2015年11月05日

このレビューは、2人中、2人の方が「参考になった」と投票しています。
デイグラシアの羅針盤
デイグラシアの羅針盤
ビジュアルノベル
2160円2060円 ポイント300還元
シリアス ミステリー

[一般同人]レビュー記事

最後まで一気読み。
ミステリとしてのトリックにも唸らされたが、それ以上に主人公の行動の意味について、作者が込めたであろうテーマに感心した。

主人公は繰り返し、仲間を助けようと「過去をやり直す」が、某キャラが言うように「過去を変えることはできない」ことは明らかであって、一見すれば意味のない行動だ。
これはノベルゲームのプレイヤーが、登場人物の悲劇を味わった上で、最後に「最善の結果」に到達してカタルシスを得る身勝手さに対する皮肉にも読める。

だが、本作品は、そのような批判を目的としているわけではない。

主人公は、死んだ仲間たちの「ありえたはずの可能性」を追体験することで、彼らがどのような人間であったのかを深く理解する。それは同時に、自らの過ちへの後悔と苦しみをも深めることにもなる。
それでも主人公は、繰り返し時を遡る。それが唯一、死者が歴史の影に埋没することを避け得る道だからだ。どんなに苦しもうとも、主人公は仲間のことを知り、語りつぐことで、彼らを救済することを選ぶ。

本作は、この「生者が死者に捧げ得る唯一のこと」描き切ることに収斂していると言っても過言ではない。
この完成度の高さに、敬意を表したい。